本研究室では、高エネルギー物理実験を基盤に、検出器開発・データ取得・信号処理を融合した最先端計測の研究を行っています。国際共同実験から将来計画、ビーム実験までを通じて、宇宙と素粒子の理解に挑んでいます。
本研究室では、高エネルギー物理実験を基盤に、検出器開発・データ取得・信号処理を融合した最先端計測の研究を行っています。
国際共同実験から将来計画、ビーム実験までを通じて、宇宙と素粒子の理解に挑んでいます。
LHC/ALICE実験における最先端検出器とリアルタイム計測
大型国際実験で最前線の物理と計測を担う研究

本研究室では、CERNの大型ハドロン衝突型加速器(LHC)で進められている国際共同実験ALICEに参加し、原子核の極限状態を探る高エネルギー原子核実験に取り組んでいます。特に、衝突で生じる多数の粒子の中から重要な情報を高精度に取り出すための検出器技術、読み出し電子回路、データ取得・信号処理に重点を置いて研究を進めています。
本研究室の特色は、物理解析だけにとどまらず、「どのように測るか」そのものを研究対象にしていることです。ALICE実験の高度化に向けて、将来の測定性能を左右する検出器システムの検討や、限られた時間の中で必要な事象を効率よく捉えるためのリアルタイム処理技術の研究に取り組んでいます。こうした研究は、膨大な実験データの中から本当に重要な現象を見逃さずに捉えるために不可欠です。


現在、ALICE実験のアップグレードに関わる検出器開発に取り組んでいます。とくに前方電磁カロリメータFoCalに関連して、将来の高精度測定を実現するための検出器構成や読み出し方式、実装上の課題について検討を進めています。これは、クォーク・グルーオン・プラズマ中でのジェット生成やその修飾など、ALICE実験の重要課題をより深く理解するための基盤となる研究です。
このように、最先端の国際実験を舞台に、検出器開発・高速信号処理・実験データ解析を一体として進めることで、宇宙初期条件にもつながる極限物質の性質解明を目指しています。巨大実験に参加しながら、自ら装置や計測法を考え、実際に測定へつなげていくことができる点が、本研究室の大きな特徴です。
EBES実験によるアクシオン探索
新粒子探索に向けた実験とシミュレーション
本研究室では、EBES実験に参加して、アクシオンなどの新しい粒子の探索に向けた研究を進めています。EBESは、KEKの加速器を用いたビーム実験を通じて、標準模型を超える新しい物理の兆候を捉えることを目的とした研究です。
素粒子の標準模型は、通常物質の性質を非常に高い精度で説明することに成功しています。しかし、暗黒物質や暗黒エネルギーは含まれておらず、宇宙全体を記述する理論としては不十分です。そのため、宇宙の理解を深めるためには、未知の新粒子の発見が重要な課題となっています。
これまで本研究室では、ビームラインでのEBES準備実験において、測定やデータ取得・解析に取り組んできました。実際のビームを用いた実験により、検出器の応答や測定条件を直接評価するとともに、観測データの解析を通じて物理的な解釈を行っています。
現在は、加速器由来のミュー粒子バックグラウンド事象に着目し、その影響を評価するためのシミュレーション研究を進めています。信号と背景を適切に区別することで、新粒子探索の感度向上を目指しています。
ILD/TPC検出器に向けた高精度トラッキングと計測技術の研究
将来の精密測定を支える検出器とDAQ技術

本研究室では、次世代の電子・陽電子衝突実験(ILD: International Large Detector)に向けて、荷電粒子の飛跡を高精度に測定するTPC(Time Projection Chamber)検出器の研究開発に取り組んでいます。TPCは、粒子の軌跡を三次元的に再構成できる検出器であり、精密測定を実現するために重要な役割を担います。
本研究室ではこれまで、TPC検出器本体の開発に取り組み、三次元トラッキングを実現するための検出器構造や読み出し方式の検討を進めてきました。また、電場の均一性やガス特性、電子のドリフト挙動など、検出器性能を左右する物理過程を踏まえた設計・評価を行ってきました。
現在はこれらの研究を基盤として、検出器から得られる信号を効率よく取得・処理するためのデータ取得(DAQ)および信号処理技術に重点を置いています。フロントエンド電子回路やリアルタイム処理の観点から検出器システム全体の最適化を進めることで、将来の精密測定実験を支える計測技術の確立を目指しています。